塩は本当に悪者なのか。「塩分が身体を蝕む」のウソ・ホント

コラム

塩辛いものをつつきながら日本酒を飲むのが至福の私ですが、塩分のことを考えるとちょっぴり憂鬱。スーパーに行くと減塩食品が散見され、減塩過激派の中には「塩分の摂取は少なければ少ないほどいい!」という声すらも聞かれます。”塩分は身体によくない”はもはや常識のような扱いですが、そういえば何故塩分が身体によくないのか、明確には説明できない人も多いかもしれませんね。

厚生労働省が発表する塩分の摂取基準は、男性1日8g未満、女性1日7g未満。上限は定められているものの、下限は定められていません。やはり、ギリギリまで塩分の摂取は控えておくべきものなのでしょうか?

そこで今回は、塩分がわたしたちの身体に与える影響を振り返りつつ、塩分は本当に身体に悪いのかを考えてみませんか?読み終わる頃には、素敵な塩との付き合い方が手に入れられるかもしれません。

弊害1、高血圧になる

「塩分過多=高血圧」のイメージは、かなり一般的ですよね。ではなぜ塩分を摂取しすぎると高血圧になるのか?少し難しい話になりますが、理由を説明したいと思います。

人間の細胞は、「血液」という水分の中に浮かんでいるようなイメージで、細胞の中と細胞の外(血液)の塩分濃度には、つねに一定の差があります。そして、定期的に細胞の中から細胞の外へと塩分を放つことで、エネルギーを作り出しています。

しかし、血液の塩分濃度が濃くなりすぎると、この仕組みがうまく働かなくなってしまいます。そのため、血液中の塩分が増えると、濃度を薄めるために水分を多めに蓄えるようになっています。その結果、せまい血管の中にパンパンに水分を詰め込んだ状態となり、圧力が高まる。これが高血圧になるプロセスだと言われています。

必要以上に圧力の高い状態が慢性化すると、圧迫された血管は脆くなったり、硬くなったりしていきます。この状態の血管は全身に血液を送り出す力が弱く、脳や心臓など、人間にとって重要な機関に血液を送り込むことができなくなることがあります。その結果、脳梗塞や心筋梗塞など、重篤な症状が引き起こされるのです。

弊害2、胃がんになりやすい

実は、胃がんは「感染症がん」のひとつだと言われています。胃がんは”ピロリ菌”という菌に感染したことにより罹患するがんで、実際に過去10年間の調査では、”ピロリ菌”に感染していない人が胃がんになる確率は0%という結果も出ています。

では、胃がんと塩分はどう関係しているのでしょうか。残念ながら現在の研究でははっきりしたことはわかっていません。有力な説としては、高塩分濃度は胃の粘膜を傷つけやすく、傷ついた粘膜は”ピロリ菌”の活動にうってつけの環境なのではないか、と言われています。

国立がんセンターの研究によると、塩分摂取量の多い地域ほど胃がんでの死亡率が高まっており、塩分と胃がんの相関関係は間違いなくある模様。

弊害3、腎臓疾患になりやすい

腎臓病と塩分も、とても深い関係があります。塩分を摂りすぎることで高血圧になることは既に説明しましたね。実は、腎臓は細かい血管が沢山集まっている臓器のひとつ。高血圧を引き起こすと、腎臓の血管も徐々に弱く、脆くなっていってしまうのです。

もともと、腎臓は不要な塩分と水分を体外に排出するはたらきを担っています。腎臓の血管が弱くなってしまうと、このはたらきが充分に機能しなくなってしまい、体内には更に塩分や水分が溜まってしまいます。すると、ますます血圧が上がり、更に血管に影響を及ぼす・・・という、悪循環に陥ってしまいます。

慢性腎不全が進行すると、透析など負担の大きな治療が必要になります。血管を健康に保つことは、全身の健康管理にとって欠かせないことがわかるでしょう。

弊害4、むくみやすくなる

塩分濃度が高まると、身体は水分をたくさん蓄えることで濃度を調節します。「むくみ」は身体に過剰な水分が蓄積されている状態なので、塩分を一時的に摂りすぎたことで、むくみが生じることがあります。

通常は塩分を控えるとむくみの症状は治まりますが、むくみは、血管運動性浮腫や腎臓・肝臓疾患など、重篤な病気を知らせるサインであることもあります。少しでも異常を感じたらすぐに医師の診断をあおぎましょう。

減らしすぎると昏睡状態に?塩分不足の意外な問題点

ここまで読むと、「やっぱり塩は悪いんだ!」という気持ちになってしまうのも無理はありません。でも、人は海から生まれた生き物だと言われるほど。本当に塩分を避ける暮らしが健康に繋がるのでしょうか?

何事も”ほどほど”がいいことは健康の鉄則。やはり、塩分の不足もそれはそれで問題であることがわかっています。

塩分が増えると血圧が上がるメカニズムの逆で、塩分が不足すると血圧が低下します。血圧が極端に低いと、ぼーっとしがちな印象がありませんか?これは、低血圧のために血液循環が悪い人に起こりがちな症状。他にも、低血圧は頭痛・倦怠感・食欲不振などを招いてしまいます。塩分不足は、「なんとなく元気がない」「漠然と体調がよくない」という状態を引き起こしてしまう可能性があるのです。

また、塩分は神経の伝達にも重要な役割を果たしています。汗をかき血液の塩分が失われた後に、水分を多量に摂取するのは危険な行為。急激に血液の塩分濃度が低下した結果、神経伝達に異常が発生し、昏睡状態に陥ってしまうこともあるそうです。大量の汗をかいた後は、適度に塩分を摂取することも必要です。

塩分と上手に付き合っていくために

noshのお弁当なら、「並べ替え」の機能から簡単に塩分量が管理できて便利ですが、市販のお弁当でもある程度塩分の含有量を調べることができます。

栄養成分表の「食塩相当量」の場合はそのままの量、「ナトリウム」の記載があるものは、ナトリウム(mg)×2.54÷1000が食塩相当量です。

味噌汁・漬物など塩分の摂取機会が多い日本の食生活では、過剰に摂取しがちになりはすれど、塩分不足に陥ることは少ないと言われています。気を付けなければ過剰摂取になってしまいがちな塩分、神経質になりすぎない程度に、塩分を控える生活を心がけるのが健康への近道かもしれませんね。