脂肪肝の原因と対策は?管理栄養士が症状・検査値・食事のキホンまで徹底解説
脂肪肝と診断されたけど、自覚症状が全くない…
脂肪肝って本当に治せるの?
脂肪肝は自覚症状がほとんどないことが多い一方で、放置すると肝硬変へ進行する可能性がある病気です。原因を正しく理解し、食事や生活習慣を見直すことで改善が期待できます。
本記事では、脂肪肝の原因・症状・血液検査の数値の見方から治療方針・治し方(改善方法)までわかりやすく解説。さらに管理栄養士が脂肪肝改善のための食事の基本を具体的に紹介します。
今日からできる改善ポイントをまとめているので、ぜひ最後までご覧ください。
※本記事は、一般的な健康情報の提供を目的としています。体調に不安のある方や、持病をお持ちの方、ご高齢の方、妊娠中の方は、必ずかかりつけ医にご相談ください。
脂肪肝とは?症状や基礎知識をわかりやすく解説

脂肪肝とは、肝臓を構成する細胞の中に必要以上の脂肪が蓄積した状態を指します。
本来、肝臓はエネルギー源として脂肪を蓄える役割を担っていますが、脂肪の蓄積量が一定の基準を超えると脂肪肝と診断されます。具体的には、全体の5%以上の肝細胞に脂肪が溜まっている状態*¹です。
健康な肝臓に比べて肝臓全体が黄色く変化し、膨らんでいるのが脂肪肝の特徴です。体格の肥満と同じように、肝臓そのものが「肥満」の状態に陥っているといえるでしょう。
脂肪肝の自覚症状

脂肪肝は初期段階で自覚症状が現れるケースはほとんどありません。肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれるように、多少の負担がかかっても不調を感じにくい臓器です。
そのため、体調に大きな変化を感じないまま、健康診断や血液検査で初めて脂肪肝を指摘される人も少なくありません。
「どこも痛くないから大丈夫」と過信せず、検査結果などの客観的な数値で状態を把握する必要があります。
脂肪肝を放置した場合のリスク
脂肪肝を放置すると、原因に応じて病状が段階的に進行するおそれがあります。
●アルコールが主な原因の場合
脂肪肝の状態で大量飲酒が重なると、アルコール性肝炎へと移行し、重症化した場合には死に至る事例も報告されています。肝炎の症状が改善しても飲酒習慣を続けると、肝硬変や肝臓がんへ進行する可能性があります。
●生活習慣が主な原因の場合
自覚症状がほとんどないため、進行に気づきにくいという特徴があります。肝硬変に進行して黄疸や腹水などの症状が現れ、初めて気付くケースも見受けられます。肝硬変まで進行すると、肝臓がんを発症するリスクが高まります。
※症状の出方や進行の程度には、年齢や性別、生活習慣などによって個人差があります。気になる症状や不安がある場合は、医療機関への相談をおすすめします。
なぜ脂肪肝になる?原因をわかりやすく解説

脂肪肝の主な原因についてまとめました。多くの場合、原因は「お酒(アルコール)」と「生活習慣」の2つに分けられます。
お酒(アルコール)によるもの
アルコールは体内でエネルギーとして使われる一方、肝臓で脂肪酸やコレステロールの合成にも関わります。
アルコールの摂取量が多い状態が続くと中性脂肪が増えやすくなり、肝臓に脂肪がたまりやすくなるおそれがあります。
▼リスクが高いと考えられる人▼
- 長年にわたる週3日以上の飲酒習慣がある人
- 日常的にアルコールを多く摂取している人
- 休肝日がほとんどない人
- アルコールに強い自覚があり、飲み過ぎに気づきにくい人

特にアルコールによる脂肪肝のリスクが高まる目安は、1日当たりの純アルコール量が男性40g以上*²、女性20g以上*³とされています。詳しくは以下のページをご覧ください。
食事・運動など生活習慣によるもの
食事で摂取したエネルギーが、日常生活や運動で消費される量を上回ると使い切れなかった分は脂肪として体内に蓄えられます。この状態が続くと肝臓にも中性脂肪がたまり、脂肪肝につながる場合があります。
▼リスクが高いと考えられる人▼
- 毎日お腹いっぱいになるまで食べている人
- 間食(おやつ)の頻度や量が多い人
- 若いころより10㎏以上体重が増加した人
- 日常的に体を動かす機会が少ない人

肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病の傾向がある人も、脂肪肝のリスクが高いとされています。血糖値を下げるホルモン(インスリン)への効き目が悪くなり、肝臓で中性脂肪が作られやすくなるためです。
遺伝によるもの
脂肪肝の原因としては、アルコールや食事・運動などの生活習慣がよく知られていますが、遺伝的な要因が関係する場合もあります。同じような食事内容や運動量で生活していても、肝臓に脂肪がたまりやすいかどうかには個人差があります。
自覚できる原因が見当たらない場合でも、定期的な健康診断で肝臓の状態を確認することが大切です。
脂肪肝は血液検査のどの数値でわかる?

脂肪肝は自覚症状が出にくい場合が多いため、定期的な健康診断への受診が重要です。ここでは、健康診断の検査項目のうち原因別に注目したい項目について解説します。
お酒(アルコール)が原因となる場合
アルコールが原因と考えられる脂肪肝では、血液検査において肝機能を示す指標であるAST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GTP(γ-GT)の数値が重要です。
特にγ-GTP(γ-GT)はアルコールの影響を受けやすく、飲酒量が多い人では高値になりやすい傾向があります。
食事が原因と考えられる脂肪肝の場合、血液検査ではALT(GPT)の上昇がよく見られ、AST(GOT)よりも高くなる傾向があります。 さらに中性脂肪(TG)や血糖値、HbA1cが高い場合も脂肪肝と関連している可能性が高まります。 健康診断の見方について詳しく知りたい人は、以下の記事もご覧ください。
脂肪肝は、早期の適切な対策により改善が期待できる疾患です。ここでは、治療・治し方の全体像の全体像をわかりやすく解説します。 脂肪肝の治療方針は、生活習慣の見直しが基本とされています。現在の生活習慣を振り返り、必要な修正をすることが求められます。 アルコールを原因とする脂肪肝の場合、最優先すべきはお酒を控えることです。飲酒をやめると短期間で改善する場合がありますが、再発の可能性もあるため、継続的な飲酒習慣の管理が必要です。 ▼見直せる飲酒習慣▼ いきなり断酒すると心身に負担がかかりやすく、挫折につながるリスクが高まります。まずは小さなことから始め、できることを徐々に広げていきましょう。 現在の体重から3%〜5%を減少させるだけでも、脂肪肝の改善が見られるとの研究結果*⁴も報告されています。 減量を成功させるには、活動によって消費するエネルギー量が、食事から摂取するエネルギー量を上回る状態を目指す必要があります。 そこで次項では、脂肪肝改善に向けた食事の見直しポイントを解説します。 まず重要なのは栄養バランスの取れた食事を心がけることです。栄養素に偏りのない食事を基本としたうえで、脂肪肝の改善に役立つポイントを1つずつ解説します。 関連記事はこちら 脂肪肝の改善を目指すうえで、まず意識したいのが食事から摂取するカロリーです。あらかじめ自分に適した摂取カロリーを知っておくと、食事内容の調整に役立ちます。 ▼基礎代謝量▼ ▼活動レベル▼ ダイエット目標を立てる際に知っておきたいのが体脂肪1kgを減らすには約7,000kcalのエネルギー調整が必要だという点です。 例えば、60日間で1kgの体重減少を目指す場合、1日に調整すべきエネルギー量は次のように計算できます。 つまり、消費エネルギーよりも1日約117kcal少ない状態を継続できれば、計算上は60日後に1kgの減量が見込まれるということになります。 ただし、極端な食事制限は長続きしにくく、リバウンドの原因につながります。無理のない範囲で継続可能な減量を目指しましょう。 脂肪肝の改善に当たっては「食べない」よりも「何を選ぶか」に意識を向けることが重要です。 無理に食事を控えるのではなく、体への負担が少ない食品や調理法に置き換えていくことが継続的な改善につながります。 脂肪肝の改善を目的とした食事では脂質の取り方にも工夫が必要です。 脂質にはさまざまな種類があり、体への影響も異なります。例えば、肉の脂身やバターに多く含まれる飽和脂肪酸や、加工食品に含まれる可能性があるトランス脂肪酸は、摂りすぎると健康への影響が懸念されます。 一方、青魚に含まれる多価不飽和脂肪酸は、積極的に取り入れたい脂質です。油をすべて控えるのではなく、使う油や食材を置き換えるとよいでしょう。 関連記事はこちら 脂肪肝の改善に向けて野菜を食べることは大切ですが、中でも緑黄色野菜を取り入れるのがおすすめです。 緑黄色野菜は、にんじんやほうれん草、ブロッコリーなどの色の濃い野菜を指し、ビタミンやミネラル、食物繊維を豊富に含んでいます。 特に注目したいのが食物繊維の働きです。食物繊維には、食後の糖の吸収をゆるやかにして血糖値の急激な上昇を抑える作用があるとされています。これにより、肝臓で中性脂肪が作られやすい状態を防ぐことができます。 食事内容だけでなく食事のタイミングも見直したいポイントです。特に意識したい点を2つ紹介します。 ●夜遅い食事は避ける 夜は日中に比べて活動量が減り、摂取したエネルギーを消費しにくくなります。使われなかったエネルギーは脂肪として体内にたまりやすくなるため、夕食は就寝の3~4時間前を目安に済ませておくとよいでしょう。 ●朝食を抜かない 朝食をとらないと、次の食事までの空腹時間が長くなることで昼食や夕食で食べ過ぎやすくなります。また、食後の血糖値が急に上がりやすくなり、肝臓で中性脂肪が作られやすい状態につながる可能性があります。 脂肪肝の改善を目指すには、食事の見直しに加えて日常的に体を動かすことで効率的に減量できます。 中でも有酸素運動は体脂肪を減少させる働きがあると報告されています*⁵。 激しい運動でなくても構いません。息が弾み、軽く汗をかく程度の運動を週に合計60分以上取り入れるだけでも十分効果が期待できます。 ダイエット中の運動の詳しい方法やポイントについては、以下の記事をご覧ください。 脂肪肝の改善を目指す上で1日のエネルギー摂取量をコントロールすることがポイントになります。 ただ、「外食やコンビニ食が多く調整が難しい…」「毎食ごとにカロリー計算するのが負担になる」という方も少なくありません。 そんな時、手軽に食事内容を管理できる「nosh(ナッシュ)」の活用がおすすめです。ナッシュは、管理栄養士と一流シェフが開発した健康志向のメニューを冷凍で届けてくれるサービスです。 注目ポイント! 関連記事はこちら \ナッシュの魅力を深掘り!/ ※独自の栄養価基準に基づく ※ナッシュは、ナッシュは、脂肪肝などの特定の疾病の治療を目的とした「食事療法食(特別用途食品)」ではありません。医師から食事指導を受けている方は、必ずかかりつけ医にご相談の上ご利用ください。 脂肪肝とは、肝臓に必要以上の脂肪がたまった状態のことです。 初期は自覚症状がほとんどない場合が多く、放置すると肝硬変や肝臓がんなど重い病気に進行するリスクがあります。 しかし、飲酒習慣や食事を見直すことで脂肪肝は改善が期待できます。特に食事では1日の摂取エネルギー量を適切に管理することが重要です。 「忙しくて外食が多くなりがち」「カロリー計算が面倒でつい食べすぎてしまう」という方は、ナッシュ(nosh)の宅配弁当がおすすめです。電子レンジで温めるだけで手軽に健康志向の食事を続けられます。 気になる方は、以下のボタンからチェックしてみてください。 \ナッシュの魅力を深掘り!/ 医療系企業にて管理栄養士として勤務し、年間100件以上の個別栄養相談を担当。加齢に伴う健康課題や女性のライフステージに応じた栄養管理、若年層の食生活改善まで、幅広い年代への指導経験を持つ。現在はフリーランスとして、管理栄養士の知見を活かし、健康・食分野の記事執筆や監修を中心に活動中。
この記事のKEYWORDS :
食事・運動などの生活習慣が原因となる場合
脂肪肝は治る?治療・治し方の全体像

脂肪肝の治療方針は「習慣の見直し」が基本

脂肪肝改善のために、まずは減量を!
生活習慣を原因とする脂肪肝の場合、最優先すべきは体重の減量です。
脂肪肝改善を目指すための食事の見直し方

まず知りたい「摂取カロリー」
自身の性別と年齢に対応する数を以下の表で確認し、()内に当てはめて計算してください。
年齢
男性
女性
18~29歳
23.7
22.1
30~49歳
22.5
21.9
50~64歳
21.8
20.7
活動レベル
生活の目安
基準値
低い
座位中心でデスクワークが多い
1.5
ふつう
立ち仕事や軽い運動をする
1.75
高い
肉体労働や運動量が多い
2.0

「選んで食べる」意識をつける
選びがちなもの
意識して選びたいもの
甘い炭酸飲料
水・お茶・無糖の炭酸水
砂糖入りコーヒー
ブラックコーヒー
菓子パン
おにぎり
スナック菓子
果物・ヨーグルト
アイスクリーム
量を決めた冷菓
大盛りごはん
普通盛りごはん+サラダ
揚げ物中心の弁当
焼き・煮物が入った弁当
脂質は「質」を変える
脂質の種類
食事での考え方
代表的な食材
飽和脂肪酸
摂りすぎに注意したい
・脂身の多い肉
・バター
・ラード
・チーズ
トランス脂肪酸
できるだけ控えたい
(部分的に水素添加した油脂を用いて作られた)
・ショートニング
・ファットスプレッド
・一部の加工油脂
一価不飽和脂肪酸
適量を意識して取り入れたい
・オリーブオイル
・なたね油(キャノーラ油)
・アボカド
・ナッツ類
多価不飽和脂肪酸(n-3系)
積極的に取り入れたい
・サバ
・イワシ
・サンマ
・マグロ
多価不飽和脂肪酸(n-6系)
摂りすぎに注意しつつ適量
・大豆油
・コーン油
・ごま油
コレステロール
摂りすぎに注意しつつ適量
・卵
・いくら
・いか
・うなぎ
・バター緑黄色野菜を積極的にとる
食事のタイミングに気を付ける
脂肪肝改善を目指すための生活の見直し方

ウォーキングやジョギングなど呼吸を続けながら一定のリズムで行う運動
ナッシュは摂取カロリーを考慮した食事選びにおすすめ



まとめ
参考文献
・厚生労働省|健康日本21アクション支援システム 脂肪肝(しぼうかん)
・厚生労働省|健康日本21アクション支援システム アルコールと肝臓病
・厚生労働省|健康日本21アクション支援システム アルコール性肝炎と非アルコール性脂肪性肝炎
・厚生労働省|健康日本21アクション支援システム アルコールとメタボリックシンドローム
・厚生労働省|標準的な健診・保健指導 プログラム (令和6年度版)
・厚生労働省|「日本人の食事摂取基準」(2025年版)
・農林水産省|すぐにわかるトランス脂肪酸
出典
*¹厚生労働省|健康日本21アクション支援システム 脂肪肝(しぼうかん)
*²厚生労働省|習慣を変える、未来に備える あなたが決める、お酒のたしなみ方(男性編)
*³厚生労働省|習慣を変える、未来に備える あなたが決める、お酒のたしなみ方(女性編)
*⁴Hannah WN Jr, Harrison SA. Effect of Weight Loss, Diet, Exercise, and Bariatric Surgery on Nonalcoholic Fatty Liver Disease. Clin Liver Dis. 2016;20(2):339-350. doi:10.1016/j.cld.2015.10.008.
*⁵厚生労働省|健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023
石川伊澄
管理栄養士
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