βカロテンの健康・美容効果とは?多く含まれる食べ物や効率的な食べ方について解説
βカロテンはにんじんに含まれる栄養素として有名です。なんとなく体によさそうなイメージがありますよね。
しかし、具体的にどのような効果があるのか知らない方も多いでしょう。
βカロテンは体内でビタミンAに変換されるだけでなく、優れた抗酸化作用を持つ栄養素です。そのため、私たちの体にとって嬉しい効果がたくさんあります。
今回の記事では、βカロテンの効果や多く含まれる食べ物を中心に紹介します。効率的な摂り方も紹介しますので、参考にしてくださいね。
βカロテンとは?
βカロテンはカロテノイドという色素の一つです。カロテノイドは赤色や黄色を示す色素で、動物や植物に広く存在しています。
なお、βカロテンは植物の色素で、にんじんやかぼちゃといった色の鮮やかな野菜には特に多く含まれています。
また、プロビタミンAとも呼ばれ、体内では必要に応じてビタミンAに変換されます。プロビタミンAは数種類ありますが、βカロテンはその中でも特に変換効率がいい成分です。
なお、βカロテンはビタミンAが不足している時のみ変換されます。そのため摂りすぎても過剰摂取となる心配はありません。
βカロテンの健康・美容効果
βカロテンはビタミンAとしての効果と、βカロテンそのものの効果をあわせ持っています。ここではその両方の効果を紹介します。
効果1.目の健康を維持する
ビタミンAは目の粘膜を正常に保つ効果があります。それにより外部からの菌やウイルスの侵入を防ぎ、目の健康を保っているのです。
また、目の神経が光を感じるメカニズムにも関わっています。
例えば、突然暗い環境になると最初は何も見えなくても、少しずつに暗さに慣れて物が見えてくる体験をしたことがあるでしょう。これを「暗順応」といいます。ビタミンAはこの反応を助けているのです。
そのため、ビタミンAが不足すると「夜盲症」となり、暗い環境で物が見えづらくなることがあります。
効果2.免疫力アップ
βカロテンは優れた抗酸化作用を持ちます。
「抗酸化作用」とは体の中の活性酸素を取り除く効果のことです。私たちは常に体内に酸素を取り込んでいますが、そのうちの2%は活性酸素という物質に変化します。
活性酸素は細胞や組織を酸化させ、ダメージを与えます。すると、体の免疫力が低下して体調を崩しやすくなるのです。
βカロテンを摂ることで、活性酸素を除去し、免疫力を上げることができるでしょう。
効果3.老化防止・美肌効果
βカロテンの抗酸化作用は、老化防止や美肌にも役立ちます。
体内で発生した活性酸素は、体を錆び付かせる原因となります。すると、しわ・たるみ・しみといった、年齢を重ねるに連れて気になる肌トラブルに繋がることがあります。
通常、活性酸素は体の中の酵素によって分解されます。そのため健康な方であれば、問題は起こりにくいでしょう。
しかし、加齢・喫煙・過剰な飲酒・ストレス・紫外線などが要因で、活性酸素は増えていきます。やがて酵素による活性酸素の除去が追い付かなくなると、体にさまざまな影響を及ぼすのです。
しわ・たるみ・しみなどの肌トラブルや老化が気になる方は、βカロテンを摂り、体の酸化を予防しましょう。
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効果4.動脈硬化・がんの予防
活性酸素の悪影響は免疫力低下や老化にとどまりません。
実は、大きな病気に繋がりやすい動脈硬化の原因になるともいわれています。特に血中の悪玉コレステロールの値が高い方は要注意です。
なぜなら、活性酸素は悪玉コレステロールと結びついて動脈硬化を引き起こすからです。
動脈硬化は血管を硬く狭くするため、血液の流れが悪くなります。すると血管が詰まりやすくなり、脳梗塞や心筋梗塞を引き起こすのです。
また、活性酸素はDNAを作り出す機構にも影響を与えます。そのためがんの発生にも関わっています。βカロテンを積極的に摂れば、これらの病気の予防も期待できるでしょう。
βカロテンが多い食べ物
各食品100gあたりに含まれるβカロテン量は以下のとおりです。
食品 | 100gあたりの含有量 |
シソ | 11,000μg |
モロヘイヤ | 10,000μg |
にんじん | 8,600μg |
とうがらし | 7,700μg |
パセリ | 7,400μg |
たで | 4,900μg |
春菊 | 4,500μg |
ほうれん草 | 4,200μg |
かぼちゃ | 4,000μg |
100gあたりで見ると、にんじんよりシソやモロヘイヤの方が多く含まれています。
しかし、シソやモロヘイヤは葉物で軽いため、100gとなるとかなりの量になります。その点、にんじんは1本で100g程度です。
摂りやすさから考えても、βカロテンの多い食品として優秀なのは、やはりにんじんだと言えるでしょう。
他にも春菊・ほうれん草・かぼちゃなど身近な野菜にβカロテンは多く含まれています。
また、野菜には緑黄色野菜と淡色野菜に分けられますが、カロテンの量が基準になっているのです。具体的にはβカロテンを100gあたり600μg以上含む野菜が、緑黄色野菜と定められています。
つまり緑黄色野菜を選べば、βカロテンを多く摂れるということです。βカロテンの効果を得たい方は、緑黄色野菜を積極的に取り入れてみてくださいね。
βカロテンの摂取量は?
「1日どれくらいβカロテンを摂ればいいの?」
そう疑問に感じる方もいるでしょう。
日本人の食事摂取基準では、ビタミンAの推奨量は定められているものの、βカロテン単体の推奨量は定められていません。そのため、一つの目安として緑黄色野菜の量で測るとよいでしょう。
国が発表した健康日本21では「野菜は1日350g食べましょう」という目標が掲げられています。その中で緑黄色野菜は1日120g以上摂るのが望ましいとされています。
例えば中サイズのにんじん1本で100g、ほうれん草なら1/2束で100gです。さまざまな野菜を組み合わせながら、多くの野菜を摂るよう心がけましょう。
効率的にβカロテンを摂る方法
βカロテンは緑黄色野菜に多く含まれていることが分かりました。しかし、普段なかなか野菜を摂れない方も多いでしょう。
食べ方を工夫することでβカロテンの吸収率をアップできます。摂取量が増やせない方は、食べ方を工夫してみてください。
方法1.加熱調理する
βカロテンは加熱することで吸収がよくなります。そのため、野菜スティックやサラダよりも、スープや炒め物にするといいでしょう。
ただし、高温で加熱し続けるとβカロテンが壊れてしまいます。具材を小さく切るなど、火が通りやすくなる工夫をして、短時間で調理しましょう。
方法2.油と一緒に摂る
カロテンは油に溶けやすい性質を持ちます。そのため、油と一緒に摂ることで吸収がよくなります。
例えば、野菜を油で炒めたり、マヨネーズと和えたりするとよいでしょう。
最近ではカロリーを減らすため、ノンオイルのドレッシングをよく目にします。しかし、ノンオイルタイプだとβカロテンの吸収はよくなりません。
βカロテンを効率よく摂りたい方は、オイルタイプのドレッシングをかけるのがおすすめです。
方法3.ジュースやスムージーにする
野菜に含まれる成分は細胞壁によって、外に漏れ出さないようになっています。しかし、細胞壁は分解されにくく、栄養の吸収を妨げる原因ともなります。
ミキサーなどを使うと、細胞壁が壊れて吸収がよくなります。実際に、生野菜を食べるよりも野菜ジュースを飲んだ方がβカロテンの吸収がよくなったというデータもあります。
ジュースやスムージーにすると、無理に食事の野菜を増やさなくてもβカロテンを補いやすいでしょう。
βカロテンが摂れるおすすめレシピ
最後にβカロテンが効率的に摂れるレシピを2つ紹介します。
どちらも家庭にあるもので簡単に作れるレシピなので、ぜひ作ってみてくださいね。
にんじんのポタージュ
にんじんと玉ねぎを煮詰めて作る、甘くて飲みやすいポタージュのレシピです。
細かく刻んでミキサーにかけることで細胞壁が壊れ、βカロテンの吸収がよくなります。またバターで炒めるのも、βカロテンの吸収をよくするポイントですよ。
【材料】2人分
- にんじん 1/2本(50g)
- 玉ねぎ 1/2個
- 塩 少々
- 水 100ml
- コンソメ顆粒 小さじ2
- 牛乳 200ml
- バター 5g
- ドライパセリ 適量
【作り方】
- にんじんと玉ねぎを細かく刻む
- 鍋に塩・バターと1を入れて火にかけ、玉ねぎが透明になるまで炒める
- 水とコンソメを加えて5分ほど煮る
- ミキサーに移し入れ、サラサラになるまで撹拌する
- 鍋に戻し入れて火にかけ、牛乳を加えて温める
- 器に注ぎ、仕上げにドライパセリをかける
にんじんが苦手な方でも食べやすいレシピです。普段はあまり口にしないという方も、ぜひ試してみてください。
ほうれん草とベーコンの卵炒め
βカロテンが豊富なほうれん草を使った、炒め物のレシピです。炒め物は簡単にできる上に、油を使うためβカロテンの吸収を高められます。
【材料】2人分
- ほうれん草 1/2束
- ベーコン(スライス) 2枚
- 卵 2個
- オリーブオイル 大さじ1
- しょうゆ 小さじ1
- バター 小さじ1
【作り方】
- ほうれん草は2cm、ベーコンは1cm幅に切る
- フライパンにオリーブオイル半量を中火で熱して、溶きほぐした卵を加える
- 固まってきたら大きくかき混ぜ、半熟になったら取り出す
- 残り半分のオリーブオイルを足して中火で熱し、ベーコン、ほうれん草の順に炒める
- 火が通ったら3を戻し入れ、しょうゆ、バターを加えてさっと炒め合わせる
火の通りやすい食材ばかりなため、短時間で調理できるでしょう。バターとしょうゆの味付けで、子どもにも人気のレシピです。
日々の食事にβカロテンを取り入れよう
今回はβカロテンの効果について紹介しました。
βカロテンはプロビタミンAとも呼ばれ、ビタミンAの効果をあわせ持つ栄養素です。また、優れた抗酸化作用があり、免疫力アップや老化防止などさまざまな効果が期待できます。
なお、βカロテンは、生野菜よりも調理した野菜のほうが吸収がよくなる性質があります。効率的にβカロテンを取り入れて、健康的な食生活を目指しましょう。
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